(中公文庫)
「利休は古渓とならんで箸をとりながら、彼の好みををこころえての、青いえんどうの炊きこみ飯をまず悦び、おひらの肉の厚い大しい茸を、まだしっかりした歯でかみ、壺の土筆の酢和えをほめ、蕗のとうを散らした豆腐汁は、おかえまでして食べた。」
「料理にも手器用な喜作はほんのありあわせでと断ったが、冬瓜のうす葛の汁、鮠の塩焼き、胡瓜に紫蘇をあしらった酢の物、といった気のきいた献立であった。」
「ほんの生ゆでで噛んでもしゃきしゃきと香ばしい芹のごま和え。油あげ、こぼう、里芋のごったに。ぶつ切りの葱に豆腐をつかみ込んだ味噌汁。彼のためにわざわざ作るこれらの田舎料理は、秀吉が大奥でたのしみにするものの一つである。」
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