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お気に入りフレーズ『秀吉と利休』(2)

野上弥生子著『秀吉と利休』
(中公文庫)

 「一月も閏月となればもう早春で、例年なら寒さこそは残っても、清明な淡青い空に鶯の初囀り(さえずり)がきこえてよい。それなのに、不審庵の後庭にあって、利休が露地のわび助に劣らず愛している寒梅でも、けなげに咲いた花がちぢかみ、ほの紅い雪の粒のように凍てついた。」